「何という見事なブナだろう!」ここは新潟、山形の県境にそびえる飯豊連峰、その山形側の登山路の横に隆々として天をさす大ブナ。幾本もの深いヒダを刻む主幹にはツタやカズラがまきついて堂々たる風格を醸しだしています。こんな巨木がゴロゴロしている“飯豊の森”は文句なしに素晴らしいと言えます。しかし、こんな見事なブナ林に会うには山懐深く登山口にある「飯豊山荘」までこなければなりません。そえまではヒョロヒョロとモヤシのようにたよりなく伸びたブナの『二次林』があるだけです。もうもうたる砂挨の中、バイクを走らせながら、この広大な二次林を見て『いったいどれだけ膨大な量の原生林が失われたのだろう』と思わずにはいられませんでした。昭和30年代の半ば、紙・パルプ業界は原料を、それまでの針葉樹林から広葉樹に変えて生産することに成功しました。この時から“ブナの受難”の歴史が始まったのです。業界の強い要請を受けて林野庁は『ブナ皆伐作戦』というスローガンを揚げて全国のブナ林大伐採を開始したのです。この人間の“魔手”を免れた原生林の中を歩いて行くとやがて飯豊の主峰が見える温身平に到着することになります。
Googleマップ 山形県西置賜郡小国町大字小玉川
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(次)月山の森
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(前)森太郎
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