栗駒は宮城、秋田、岩手の県境にある山で中腹に広大なブナの原生林をもっています。《神秘の森》勢いよく伸びたブナの大木が林立する森にはミズナラやカエデなどもあり林床はチシマザサが繁茂、さまざまな鳥が鳴き、この豊かな生命を育んでいることを窺わせます。また倒木の多いことも原生林特有のもので“世代交代”が盛んに行われていることを示しています。倒木にはキノコや苔が密生し、やがて土に帰るべく分解作用を手助けしています。落葉とともに土に帰る巨木は新しく誕生する植物の豊かな土壌になります。こうして森は“何ひとつムダのない”生産活動を続けてゆきます。大量のゴミや有害物質をまき散らしながら活動する人間社会に較べると、小枝一本、落葉一枚に至るまで 次の生命へと引き継ぐ この森の営みはまさに“神秘”です。《奇跡の森》昭和30年代から最近まで全国の森が“乱伐”されました。とくにブナは“金にならん”という理由で丸裸にされ、多くの原生林が失われました。しかし これは取り返しのつかないミスだったのです。ブナは“緑のムダ”とも呼ばれ その保水力は樹齢150年の木で じつに8トンもの水を貯える、と言われています。だから豪雨にも洪水を防ぎ干魃には水蒸気で潤しながら光合成を行えたのです。これを失ったために 大水や土砂流れが多発。いくら砂防ダムを作っても追いつかないのが現状です。“大気汚染”や“温暖化”により一度、失った原生林を蘇らすのは、現代ではムリだという学者もいます。してみると私が今いる森は二度と現れない まさに“奇跡の森”ではないでしょうか。
Googleマップ 秋田県湯沢市雄勝郡東成瀬村
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(前)蒸ノ湯温泉
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