もし山好きの人が“楽園”をイメージするのなら、その内容は、この鳥海の森のようなものになろうかと思われます。太古から続くブナの原生林に囲まれた静かな池。そこには手の切れるように冷たい清水が、こんこんと湧き出ています。秀麗な鳥海山の姿を写す水面には時々、夏山の涼風が吹きわたり、ブナの梢からは、さまざまな鳥のさえずりが聞こえます。ここはまさに『桃源郷』鳥海山(2236m)は秋田、山形の県境をまたいでそびえる東北の最高峰です。最上川の河口にある酒田を出て内陸部に入っていくとゆるやかな山容の鳥海山がどんどん大きくなっていきます。山麓は広大な牧草地で中腹からブナ林となりますが、どこを見ても原生林を伐採した後の二次林です。ヒョロ・ヒョロとモヤシのように伸びたブナ若木が続きます。実は、かってこのあたりは一面ブナ原生林だったそうですが昭和33年から林野庁の“大伐採”が始まり丸裸にされてしまったのです。今では残された原生林はわずかとなりました。そのひとつが『鶴間池』で急峻な山道を下った所に神秘の森と池がポツンと残されています。
Googleマップ 山形県酒田市草津湯ノ台奥山
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(次)アガリコの森
神々の住む森 東北一の名山と言われる鳥海山(2236m)には奇妙な形をしたブナの巨木があります。人間の背丈くらいの高さに隆々とした“こぶ”ができ、そこから何本も枝が派生しています。一見、奇形とも見える ...
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(前)月山の森
神々の住む森 月山は山形県のほぼ中央部に位置し、古くから“出羽三山”のひとつとして信仰されてきました。昔から全国屈指の豪雪地帯として知られ西側斜面では実に10メートルの積雪があるということですから、我 ...
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