山陰海岸をさらに東へ。伊笹岬を越えた辺りで平家の落人が見張り用として築いたという城跡に出る。城はもうなくなって小高い丘になっているが色々な出土品があるらしい。船以外、交通手段のないこの“陸の孤島”は落人にとって絶好の隠れ里だったろう。ここで休憩していると大阪から帰郷したという57才の男性に声をかけられた。「松山でっか、私、むかし宇和島で仕事した事ありますわ。あの頃は景気よかったなあ」彼は配管工をしていると言う。「今は仕事がのうてホームレスになった仲間もおります」「おふくろが倒れた言うんで帰ってきたんやけど、ここの海はやっぱりええわ」「ここに戻りたいんやけど生活がなあ…」と言って口を噤んだ。出発の時「ほな気をつけて、ええ旅をして下さい」と言って手を振りながら見送ってくれた。20時、舞鶴港着、小樽行の乗船手続きをする。14,360円(2等寝台+バイク)23:30分出航。
Googleマップ 兵庫県香美町香住区御崎
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(前)但馬御火浦
中国 14時、兵庫県の北端、但馬海岸にでる。日本海の荒波に揉まれた奇岩奇石の断崖が続く、時折、小さな漁村が低地にへばりつくようにして集まっているのが見える。この辺り、戦前までは陸路がなく、海上交通のみ ...
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